一般的な住宅建築の流れ
住宅を建築する場合、施工の工程は10を越える項目になります。
それぞれの工程に専門の施工業者がいて、
現場の進み具合により現場監督の指示で、各施工業者が現場に入り仕事をします。
30〜40坪位までの一般的な木造建物の場合、
平均的な施工期間の目安は約3〜4ヶ月です。
施工期間の長さでみると、大工工事の期間は約2ヶ月で最長、
次に長いのは基礎工事で、養生期間も含め約3週間です。
※養生とは=そっとしておく事、基礎工事の場合は立ち上がりコンクリートで4日から1週間
その他の工事は、全面クロス貼りの場合、内装工事の約10日が最長で、
短い工事は半日で終わるものもあります。
元請け会社が各施工業者に発注する場合、
※元請け会社=お施主さんと契約する会社。元請け会社から仕事を請ける会社=下請け会社
材料費が高価で、契約金額にしめる割合が大きいもの以外は、
材工共の単位価格(複合単価)×施工数量で、算出した金額で発注します。
※材工共=使用材料と施工費を含んだ金額
この複合単価がくせ者で、都合のいい場合もあれば、
とんでもなくコストアップにつながる場合もある訳です。
複合単価が都合のいい場合。
たとえば汎用品の100mm角タイルを玄関廻りに貼る工事とか、
※汎用品=一般的な材料でメーカーが違っても、価格差のほとんどない材料
屋根をカラーベスト葺きにする場合、汎用品カラーベストを使用する場合とか、
※カラーベスト=当社HPを参照下さい。
外壁のサイディングボードを、タイル目地の汎用品にするときとか、
※サイディングボード=当社HPを参照下さい。
内装仕上げを汎用品ビニールクロスにする場合とか、
その他いろいろ各工種に存在します。
都合の悪い場合。
上記の例でいくと、100角タイルを輸入品テラコッタタイル300mmに変更、
なおかつ施主支給。 ※テラコッタタイル=素焼きのタイル、自然な味わいがある。
同じカラーベストでも、建材メーカーが発売したばかりの高付加価値商品への変更。
外壁やビニールクロスを、自然素材塗料のこて塗りに変更する場合とかです。
※自然素材塗料=珪藻土が代表的です。
都合のいい場合に共通していることは、競争の激化から価格が安止まりしている点です。
都合の悪い場合に共通していることは、
使った事のない材料に対する、発注者の食わず嫌いや、
汎用性のない建材の収まりや仕入れ価格を、積極的に研究する体質の欠如が考えられ、
結局、コストの増大を招く事になります。
※収まり=作業の段取りを含む施工の仕方
そういった体質で、仕事をこなすためには、
※この場合の仕事とは=いわゆる『やっつけ仕事』
できる限りの汎用品を使い、
材工共の単位価格×施工数量で請負価格を算出し、
出来るだけ過去施工例と同じ形状にして、なじみの各工種専門施工業者に発注する。
といった流れになります。
また完全企画型プラン、ちょっと気が利いたところで躯体構造同一プランにより、
※躯体構造同一プラン=主要な柱や梁、基礎、屋根等は同一で間仕切り位置の移動等が可能なプラン
同じ仕様での年間施工数を、各工種専門施工業者に約束し、単位価格自体も落としていく。
といった流れになっているようです。
年間施工棟数がある程度の規模の場合、
汎用品建材であっても施工者に支給しているようです。
また、完全企画プランの場合は、設計・積算の微調整のみで、
計画時コストを削減する事ができます。
この場合での住宅会社のタイプは2つに分かれます。
1つは大手ハウスメーカー、最近の傾向では、大手ハウスメーカーは消費者に、
企画型を感じさせない企画住宅の販売に、力をいれているように感じられます。
もう1つはローコスト型住宅会社です。
『住みだし価格で1000万円の家!』とか『坪20万円代で夢のマイホーム』
という広告を目にします。
一定期間に、一定数量以上を販売しないと具合が悪いのは、どの商売もいっしょですが、
ローコスト型の場合は数量のハードルが、結構高いものになっていると思われます。
どちらのタイプも、住宅を商品として確立し、
広告宣伝やマーケティングにたけている会社が多いようです。
これから家を建てようという方は、
やはり商品として確立されたものが、選択しやすいのは間違いありません。
しかし、住宅はいろいろなパーツや、施工機具を使って組み上げていくものですから、
その特性を正確に理解していれば、ローコスト住宅に使用するパーツを使って、
世界にひとつだけの家を建てる事も可能な訳です。