前回、アメリカと日本の不動産価格の比較をしてみましたが、住宅用地の広さがあまりに違う事について、
それは文化の違いだよ。という指摘を身近な複数の方から頂きました。
そこで疑問に思ったのは、広い敷地に住む文化とはなに?という事です。
実際、前回ご紹介した
スカースデール・ビレッジの物件はマンハッタンから約20kmという立地で443m2の
敷地面積で住宅建物が築79年ですから、日本だったら間違いなく建物を取り壊し、4区画に分けて
分譲するでしょう。この物件は7582万円で売り出されているので、単純に4区画に分けると
1区画土地面積:110m2 土地価格:1895万円 建て売りもしくは建築条件付きで3200万円といった
感じで販売されると思います。
なぜ、そうしないのでしょうか?文化の違いというだけでは簡単すぎる気がします。
建ぺい率・容積率や敷地分割の制限がきびしいのでしょうか?法令関係については調べていませんが、
物件広告を見る限り、法令に関しては厳しそうにない気がします。
(敷地面積の表示のない物件もある位です。)
前回、紹介したもう一つの物件、マンハッタンのマンションは面積35.02m2で築106年
価格3093万円というものですが、面積的にはもっと狭い物件も存在しますし、億を越える物件もたくさん
あります。
この2つの物件を観察することで、私が感じた事は、空間を専有する事の価値感が、非常に合理的なのでは
ないか?と言うことです。
ところで、築100年を越す建物についてどんなイメージを皆さんはお持ちになるでしょうか?
老朽化して危険。倒壊のおそれあり。床が抜ける。薄暗い。といった風にお考えになると思います。
その解消方法として、てっとり早いのが解体・新築という選択肢ですが、建物にとってマイナス要因が
(RC造=鉄筋コンクリート造)
発生し出した時に解消していけば、RC造に限らず木造でも耐用年数はどんどん延びる事は、
古来日本の建築文化が証明しています。
築100年を越すマンハッタンの共同住宅の特に給排水管などは、既に何度も取り替えられているはずです。
その施工方法は、一番簡単に補修出来るところにどんどん穴を開けて、配管は露出したまま、
といった具合ではないでしょうか?また何年か後に具合が悪くなるのだから、綺麗に化粧する必要はない。
といったところでしょう。同じような理屈でその他の設備も修繕されていると思われます。
そういった建物の使い方により、空間を専有する事の価値は長い時間保たれていくのではないでしょうか?
現在の日本における高層マンション等の集合住宅では給排水等の劣化のおそれのある部分は比較的
簡単に取り替えのきく工法が主流になっています。VOL17で少し触れた都心の高層マンション建築という
事業は供給方法だけではなく、22世紀においても空間の専有価値の変わらない不動産の可能性が
あるのではないかと思います。(受給バランスの問題はありますが・・・)
集合住宅には新しい道が見えてきたようです。それでは戸建て住宅の未来は?
次回に続く
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編集後記】
なにか、大風呂敷を広げてしまったような気がする、今回のメルマガでした。次回はどうすればいいんだろう?
1週間で発行できるようがんばろう。
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